サマリー
◆国家統計局によると、2019年4月~6月の中国の実質GDP成長率は前年同期比6.2%(以下、変化率は前年同月比、前年同期比、前年比)と、1月~3月の6.4%から低下した。2018年1月~3月の6.8%成長を直近のピークとする成長率の低下傾向に歯止めはかかっていない。大和総研は2019年の成長率を6.3%と予想していたが、これを6.2%に引き下げる。
◆2019年の政府成長率目標は6.0%~6.5%であり、1月~6月の6.3%成長は目標範囲内にある。中国共産党・政府は2020年のGDPを2010年比で実質2倍にすることを国民への公約としており、その達成には、2019年、2020年にそれぞれ6.1%強の実質成長が必要となる計算である。ただし、このまま景気減速が続くと、目標達成が覚束なくなり、近いうちにより本格的な景気対策を打つ必要性が高まっている。
◆大和総研では、①現在大手行で13.5%の預金準備率の引き下げ(1%ptの引き下げで1.5兆元程度の貸出増加が可能)、②インフラ投資のさらなる加速、③自動車・家電の補助金支給による購入・買い替え促進など、景気テコ入れに打てる手は残されていると考えている。②は債務のさらなる増大と将来的な金融リスクを高め、③は政策終了後の反動減に警戒が必要となるが、それでも景気底割れ回避を目的に、こうした政策が実施されることになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
-
中国:米国の104%追加関税、悪影響には天井
累計104%の追加関税で中国の実質GDPを2.84%押し下げ
2025年04月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日