サマリー
◆米中貿易摩擦問題を巡る制裁「予告」合戦が激しくなる中、4月10日に習近平・国家主席は博鰲(ボアオ)アジアフォーラムにおいて、外資参入ハードルの大幅引き下げ、知的財産権保護の強化、輸入増加など4項目の「国際公約」を発表した。これは、通商問題で中国への圧力を強める米国に対する中国からの「回答」である。ただし、それに米トランプ大統領がどう応えるかは不透明である。米国が実際に制裁を発動した場合、中国による報復が行われる可能性は高い。その段階では最早、経済の問題ではなく、政治問題と認識されるためである。実際に報復合戦がエスカレートすれば、世界経済全体に悪影響を及ぼし、しかも中国への影響は相対的に大きくなると予想される。
◆国家統計局によると、2018年1月~3月の中国の実質GDP成長率は6.8%と、2017年の6.9%から僅かに減速したとはいえ、堅調を維持した。これで四半期ベースでは11四半期連続で6.8%±0.1%という安定成長が続いたことになる。消費はやや減速したとはいえ底堅く推移し、不動産開発投資を牽引役に固定資産投資は2017年の前年比7.2%増から2018年1月~3月は前年同期比7.5%増へ加速した。米中貿易摩擦問題が実際の報復合戦に陥らなければ、中国の景気が大きく下振れするリスクは極めて小さいとみている。
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