サマリー
◆2017年1月~2月の固定資産投資は前年比8.9%増(以下、断りのない限り前年比)と、2016年の8.1%増から上向いた。なかでもインフラ投資は2016年の15.8%増から2017年1月~2月は21.3%増へと伸びが加速。同投資は国有部門が中核を担うが、中国政府は2015年5月以降、政府・民間資本提携(PPP)による民間資本の導入を推進している。財政部によると、2016年末時点で契約済みのプロジェクトは1,351件、2.2兆元となり、このPPPプロジェクトが実施段階を迎えつつあることが、足元のインフラ投資のさらなる拡大に寄与している可能性がある。
◆2017年1月~2月の実質小売売上は8.1%増と、2016年の9.6%増から一段と減速した。排気量1.6L以下の乗用車の車両購入税半減措置の効果が剥落したことが、実質小売売上の伸びを抑制している。
◆2017年1月~2月の輸出(米ドル建て)は4.0%増、輸入は26.4%増と、それぞれ2016年の7.7%減、5.5%減からは大きく改善している。輸入急増は原油価格等の上昇によるところが大きい。1月~2月の貿易黒字は421億米ドルと、前年同期の849億米ドルから半減した。原油価格が昨年1月~2月の1バレル=30米ドル割れをボトムに同年6月初旬には50米ドルにまで急上昇したことからすると、前年比の上昇率は2017年1月~2月がピークとなり、その後は急速に落ち着いてくる可能性が高い。輸出と輸入の伸び率の差は縮小に向かい、貿易黒字の減少幅はより小さくなろう。
◆消費減速が続くなか、足元の中国経済は固定資産投資への依存が再び高まろうとしている。だからといって、過剰生産能力の削減が推進されている重工業分野の投資を増やすことは避けなければならない。重点はインフラとイノベーション関連投資である。3月の全人代における財政部の2017年の予算案報告では、後者に関連して、科学技術型中小企業の研究開発費用の加算控除の割合を従来の50%から75%へ引き上げることが発表された。イノベーションの牽引役となることが期待される民間中小企業向けの政策措置であり、今後の動向に注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:今後10年の長期経済見通し
第15次5カ年計画の基本方針、山積する構造問題に処方箋を出せず
2026年01月21日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し(更新版)
不動産不況の継続と消費財補助金政策の反動で景気減速へ
2026年01月19日
-
中国が軍民両用品の対日輸出規制を強化
レアアースの対日禁輸措置の可能性
2026年01月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

