サマリー
◆政府活動報告では、2017年の政府実質経済成長率目標は前年比6.5%前後と発表された。2012年~2014年の同7.5%前後、2015年の同7.0%前後、そして2016年の同6.5%~7.0%からはもう一段の引き下げであり、これで成長率目標の引き下げは3年連続となった。
◆2017年の政府活動報告は、2016年10月の中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議で、「党中央の核心」に位置付けられた習近平総書記の政策が色濃く反映されたことが大きな特徴である。同報告では、2017年の9つの重点活動任務を提示し、その筆頭には、習近平総書記が主導する「サプライサイドの構造改革」が掲げられた。
◆2016年の8つの重点活動任務との比較では、2017年は「改革」がキーワードとなり、2016年は筆頭だったマクロ経済の安定化が大項目からは抜け落ちたことが分かる。2016年の実質GDP成長率は1月~3月以降、3四半期連続で前年同期比6.7%を維持し、10月~12月は同6.8%と僅かに上向いた。景気が安定化するなか、改革を深化させる素地が整ってきたというところなのであろう。
◆とはいえ、経済の安定が軽視されるわけではない。積極的な財政政策は引き続き維持され、2017年の財政赤字は前年比2,000億元増の2兆3,800億元とし、GDP比は3%とされた。この他、地方政府が収益性のある公共事業のために発行する特別地方債は8,000億元と前年比で倍増し、地方の景気をサポートする。
◆金融政策の方針は、従来の「穏健」から「穏健中立」に変更することが、2016年12月の金融工作会議で決定済みであり、2017年のマネーサプライM2と社会融資総量残高の増加率はともに前年比12%前後と、2016年の同13%前後からは若干の引き下げとなった。「穏健」な金融政策とは若干の引き締めから若干の緩和までを含む幅広い概念であるが、「穏健中立」は、やや緩和気味に振れていた金融政策を本来的な意味の「中立」に戻すことを意味しており、今回の目標設定はこれに沿ったものである。企業債務の膨張抑制と、大きく上昇した住宅価格のソフトランディングが当面の焦点となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国経済見通し:不動産不況の底打ちに期待
見通しを2026年4.5%→4.6%、2027年4.2%→4.4%に引き上げ
2026年10月22日
-
中国:26年7~9月は4.5%成長の低空飛行
さらなる景気テコ入れ策の可能性も
2026年10月19日
-
米中貿易戦争、勝者は中国
伝家の宝刀・レアアース、輸出先の分散化、迂回輸出
2026年10月02日
最新のレポート・コラム
-
利用広がる議決権パススルー
投資信託のリテール顧客による議決権行使の選択が現実のものに
2026年10月26日
-
日本版米国型AWMビジネスモデルを創出するための条件
~投資銀行型と商業銀行型の比較~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
次世代の「地域金融の課題と競争のあり方」
~最新データに基づく地域銀行の競争可能性の再試算~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
マル優・NISA等の非課税制度が家計金融資産に及ぼした影響の長期分析
~家計の国債保有優遇策の検討に向けた政策的示唆~『大和総研調査季報』2026年秋季号(Vol.64)掲載
2026年10月26日
-
子どもが幼いうちは子育てに専念したい世帯にも目配りを
2026年10月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
-
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
-
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
-
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
-
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日
国税庁が非上場株式評価の方向性を公表
簿価純資産と収益力で評価する「残余利益方式」に統一の方向
2026年09月08日
GPIF経営委員会の8月開催が意味すること
基本ポートフォリオ見直しに向けて第一歩を踏み出したのか
2026年09月01日
日米協調介入は円安の是正にどこまで効果を発揮したのか?
更なる介入の合理性は低下。レジーム転換の有無が今後の焦点に
2026年09月14日
コーポレートガバナンス・コード改訂の焦点
企業の自律的な判断と実質を伴う説明が問われる
2026年08月27日
第230回日本経済予測(改訂版)
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年09月08日

