サマリー
◆2016年1月~4月の固定資産投資は前年同期比10.5%増と、2015年の前年比10.0%増から若干ではあるが上向いている。2015年に同1.0%増にまで落ち込んだ不動産開発投資は、2016年1月~4月には同7.2%増へ回復した。全体の1/6弱を占める不動産開発投資の回復とインフラ投資の高い伸びが、固定資産投資全体の底入れに寄与している。
◆中国の住宅市場は二極化している。住宅価格が急上昇している大都市では、「首付貸」(頭金貸出業務)といった投機的な動きを抑制し、過熱する住宅市場のソフトランディングが目指される一方で、過剰な住宅在庫に喘ぐ地方都市では、住宅市場刺激策によってその解消が目指されている。景気への影響の観点からは、大都市の住宅価格抑制策が効きすぎることが懸念材料となるが、少なくとも当面はそれが現実となる可能性は高くない。住宅価格上昇局面では、2回目、3回目の投資・投機抑制策が出され、政府が本格的に取り組むまで政策は効かないのが経験則となっているのだが、今回は、不動産開発投資を牽引役とする景気底入れという政府の思惑もあり、矢継ぎ早の価格抑制策の発表という事態は従来以上に想定しにくい。
◆足元で減速している消費については、ネット販売が書き入れ時を迎える秋以降は持ち直す可能性が高いが、物価上昇の影響で前年同期との比較では高い伸びは期待しにくい。こうしてみると、中国の景気には、大都市の住宅販売の好調や不動産開発投資の回復、それにインフラ投資に多くを依存せざるを得ないという脆弱さがある。今後の景気はL字型の推移となり、底入れはしても明確な回復感は出てこないだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:26年2Qは4.3%成長、内需が急減速
4月~6月は政府成長率目標の下限を下回る
2026年07月16日
-
中国:内需テコ入れに利下げは逆効果も
4~6月は4.3%成長に減速。預金準備率引き下げ、財政出動が有効か
2026年07月15日
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
最新のレポート・コラム
-
「トランプ口座」始動、未来の株主多数輩出
口座開設、「収益獲得」ではなく「次世代投資家との接点」
2026年07月17日
-
データサイエンスを踏まえた年金数理理論の人的資本分析への発展可能性
新たな退職率算定方法による退職要因分析への応用
2026年07月17日
-
AI時代に自社のサイバー対策は正解なのか?
~Claude Mythos騒動を受けた各企業の対応を確認する~
2026年07月17日
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
AI時代の競争力を生むのは誰か? ~シリコンバレーとシアトルが示す「人材エコシステム」の力~
2026年07月17日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

