サマリー
◆3月5日の李克強首相による政府活動報告では、2016年の重点活動が報告され、注目された2016年の政府経済成長率目標は前年比6.5%~7%と設定され、2012年~2014年の同7.5%前後、2015年の同7%前後から引き下げられた。李克強首相は「安定成長の主目的は雇用の確保と民生の改善にある。この成長率目標であれば、比較的充分な雇用を確保できる」とした。経済政策運営上、最も重要なのは「比較的堅調な雇用」である。
◆積極的な財政政策は一段と強化され、2016年の財政赤字は2015年予算比5,600億元増の2兆1,800億元とされた。財政赤字のGDP比は同様に2.3%⇒3%へ拡大する。財政赤字の拡大分のほとんどは、減税や料金等の引き下げに充てられる。一部で期待されていたリーマン・ショック後の2008年11月に発動された4兆元の景気対策の再現は、想定されていない。ただし、これには「比較的堅調な雇用」が維持されるという前提が崩れない限り、という但し書きが付くのであろう。「比較的堅調な雇用」が損なわれる(損なわれそうな)事態となった場合には、ある程度の財政出動は躊躇されることなく実施されることになろう。
◆「過剰生産能力の解消」も「比較的堅調な雇用」との兼ね合いが重要である。このため、政府活動報告では、「中央財政は1,000億元の特別奨励・補助資金を拠出し、過剰生産能力の解消に取り組む企業の従業員の再配置・再就職支援に重点的に充てる」としたのであろう。「過剰生産能力の解消」が短期間に進めば「比較的堅調な雇用」は損なわれる。両立には長期的な政策が必要とされよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:消費拡大15次5カ年計画を読み解く
政府は低空飛行の継続を想定か。構造問題への処方箋は書かれず
2026年08月03日
-
中国:政治の季節と景気テコ入れ策の示唆
政治局会議開催。綱紀粛正強化による経済活動の一部委縮懸念
2026年07月31日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

