サマリー
◆2016年3月5日~16日の予定で開催されている第12期全国人民代表大会(全人代)第4回会議では、初日に李克強首相による政府活動報告が行われ、第13次5ヵ年計画(2016年~2020年)の発展理念といくつかの数値目標についての言及があった。基本的には、昨年10月の「中国共産党中央の国民経済・社会発展第13次5ヵ年計画に関する建議」で示された5つの発展理念である、イノベーション、協調(調和)、グリーン(エコ)、開放、共享(共に享受する)の重要性が強調された。
◆パイの拡大に邁進すればよかった時期から、その中身を吟味し、公平性や分配のあり方がより重視される時期に移行するにあたり、第13次5ヵ年計画の5つの発展理念は、妥当性が高いと評価できる。
◆しかし、優れた方針・政策も実行されなければ、意味はない。2012年11月の第18回党大会で習近平政権が誕生してから、「虎(大物)もハエ(小物)も叩く」を合言葉に、中国では、汚職腐敗摘発や粛清が「常態」化している。こうしたなか、方針・政策を現場で遂行する地方政府や官僚が委縮し、保身のための不作為が蔓延し、彼らの積極性が大きく阻害されているとの指摘もある。第13次5ヵ年計画の成否の鍵は、「政治」にあるのかもしれない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:内巻(破滅的競争)と上乗せ関税の行方
追加関税大幅引き下げでも製造業PMIは50割れが続く
2025年06月24日
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日