サマリー
◆2015年3月5日~15日の予定で第12期全国人民代表大会(全人代=日本の国会に相当)第3回会議が開催される。初日の5日には李克強首相による政府活動報告が行われた。注目された2015年の政府経済成長率目標は7%前後と、2012年~2014年の目標7.5%前後から引き下げられた。
◆昨年秋口までのような分野を限定した下支えでは、増大する景気下振れリスクに抗するのは難しくなっており、2014年11月22日の2年4ヵ月ぶりの利下げと2015年3月1日の追加利下げ、そして2015年2月5日の全ての銀行を対象とした預金準備率引き下げ、といった具合に、金融政策の下支えの対象は経済全体へと範囲が広がっている。
◆全人代の政府活動報告では、(1)2015年の財政赤字を前年比で2,700億元多い、1兆6,200億元(約31.4兆円)とし、財政赤字のGDP比を2014年の2.1%から2015年は2.3%に拡大する。うち地方財政赤字(地方債発行額)は前年比1,000億元多い、5,000億元とするほか、特別債を適宜発行する、(2)マネーサプライ(M2)増加率は前年比12%前後とするが、必要に応じて多少高くなっても構わない、とするなど、景気下支えのための政策的な余地を残すような配慮もなされている。財政・金融面での下支えによって、雇用の悪化を招くような景気下振れを回避しようとしているのであろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日