サマリー
◆2015年の経済運営を協議する中央経済工作会議では、「新常態(ニューノーマル)」に適応することの必要性や重要性を謳った。具体的には、(1)経済成長は、高速成長から、中高速成長へ、(2)経済発展パターンは、規模拡大と速さ重視の粗放型発展から、質と効率を重視した集約型発展へ、(3)経済構造は、規模拡大・能力増強から、ストックの調整へ、(4)経済発展の牽引役は、伝統的な成長リード役から、新たな成長リード役へ、と移行していくことが強調された。
◆中央経済工作会議で提示された2015年の重点は5項目であり、経済の安定成長維持が最初に掲げられた。経済の安定成長と改革深化は、両立するのが好ましいことはいうまでもない。しかし、二者択一であれば、優先されるのは、雇用の安定を可能にする経済成長である。2015年の重点項目の最初に、経済の安定成長維持が掲げられたのは、当局の想定以上に景気が減速するリスクを意識しているためかもしれない。中国では、2015年も積極的な財政政策と中立的な金融政策が維持されるが、「中立的」な金融政策とは、若干の引き締めから若干の緩和までを含む幅広い概念である。雇用の悪化を招くような景気の下振れリスクが認識されれば、預金準備率引き下げや追加利下げでそれに対応することになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:四中全会、関税、そして日中関係悪化
米関税下げで2026年の経済見通しを上方修正、ただし内需は厳しい
2025年11月25日
-
【更新版】中国:100%関税回避も正念場はこれから
具体的な進展は「フェンタニル関税」の10%引き下げにとどまる
2025年11月04日
-
中国:100%関税回避も正念場はこれから
具体的進展は「フェンタニル関税」の10%引き下げにとどまる
2025年10月31日

