サマリー
◆中国人民銀行は2014年3月15日、人民元の対米ドル為替レートの変動幅を当日朝当局が発表する基準レートの±1.0%から±2.0%に拡大すると発表した。しかし、基準レートの決定は当局の思惑次第となっており、基準レートに対するその日一日の変動幅拡大によってもたらされるのは、当日のボラティリティの増大である。
◆人民元の対米ドル基準レートの設定には、中国政府の意図が強く反映されている。であれば、2014年に入ってからの「元安」も、当局の何らかの意図が反映されているはずである。具体的には、①2013年12月、2014年1月とホットマネーの流入が大きく増加しており、「元安」に誘導することで、為替差益を目論んだホットマネーの流入を抑制する、②2005年7月以降の累計で人民元は対米ドルで累計35%の元高となっており、競争力低下に苦しむ輸出企業への配慮がなされている、といった見方である。「緩やかな」元安誘導がしばらくは続くかもしれない。
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