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地方政府債務、問題山積だが暴発は回避へ

残高の急増抑制、社債発行による金利負担軽減と債務期間構造の長期化

2014年01月24日

経済調査部 主席研究員 齋藤 尚登

サマリー

◆中国審計署(日本の会計検査院に相当)が2013年12月30日に発表した「全国政府債務会計検査結果」によると、2013年6月末時点の地方政府債務・偶発債務は合計17兆8,909億元、2012年の名目GDP比は34.4%だった。全体として大きな問題はないようにみえる。


◆しかし、中身をみれば問題は山積している。例えば、偶発債務は、①政府保証債務と、②政府保証はないが政府が一定の救済責任を負う可能性のある債務の合計であり、債務者が返済不能となった場合に政府債務になり得る債務である。偶発債務の返済のうち、財政資金が負担した割合は2007年以降の最高で①は19.1%、②は14.6%に達している。返済済みであるため不良債権と認識されないが、少なくとも返済義務のある債務者やプロジェクトが返済不能に陥っていることは事実であり、潜在的な不良債権比率はかなり高いと推察される。


◆今後、先ずなすべきは、地方政府債務・偶発債務残高をこれ以上急増させないことであり、2014年の重点政策のひとつとなろう。


◆会計検査結果公表の翌日、国家発展改革委員会は(1)地方政府融資平台の高利債務を中長期の社債に置き換えるなど、債務再編を強化する、(2)資金不足に直面するプロジェクトに対して債券発行による債務返済とプロジェクト再開を認可する、ことを発表した。潜在的不良債権の抜本的な処理をするのではなく、低利債券への借り換えによる金利負担軽減と返済期限の長期化・分散化によって問題を先送りしつつ、徐々に処理を進める方針なのであろう。


◆こうした方針が堅持される限り、地方政府債務問題が暴発して中国経済が失速する可能性は低い。ただし、債務増加を抑制するなかでの既存債務の固定化により、新たな資金調達は限定される。地方政府債務問題の帰結はある程度の成長鈍化となろう。

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