サマリー
◆中国審計署(日本の会計検査院に相当)が2013年12月30日に発表した「全国政府債務会計検査結果」によると、2013年6月末時点の地方政府債務・偶発債務は合計17兆8,909億元、2012年の名目GDP比は34.4%だった。全体として大きな問題はないようにみえる。
◆しかし、中身をみれば問題は山積している。例えば、偶発債務は、①政府保証債務と、②政府保証はないが政府が一定の救済責任を負う可能性のある債務の合計であり、債務者が返済不能となった場合に政府債務になり得る債務である。偶発債務の返済のうち、財政資金が負担した割合は2007年以降の最高で①は19.1%、②は14.6%に達している。返済済みであるため不良債権と認識されないが、少なくとも返済義務のある債務者やプロジェクトが返済不能に陥っていることは事実であり、潜在的な不良債権比率はかなり高いと推察される。
◆今後、先ずなすべきは、地方政府債務・偶発債務残高をこれ以上急増させないことであり、2014年の重点政策のひとつとなろう。
◆会計検査結果公表の翌日、国家発展改革委員会は(1)地方政府融資平台の高利債務を中長期の社債に置き換えるなど、債務再編を強化する、(2)資金不足に直面するプロジェクトに対して債券発行による債務返済とプロジェクト再開を認可する、ことを発表した。潜在的不良債権の抜本的な処理をするのではなく、低利債券への借り換えによる金利負担軽減と返済期限の長期化・分散化によって問題を先送りしつつ、徐々に処理を進める方針なのであろう。
◆こうした方針が堅持される限り、地方政府債務問題が暴発して中国経済が失速する可能性は低い。ただし、債務増加を抑制するなかでの既存債務の固定化により、新たな資金調達は限定される。地方政府債務問題の帰結はある程度の成長鈍化となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国が軍民両用品の対日輸出規制を強化
レアアースの対日禁輸措置の可能性
2026年01月07日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

