サマリー
◆2013年11月9日~12日に、中国共産党第18期中央委員会第三回全体会議(以下、三中全会)が開催され、最終日の12日に「改革を全面的に深化させるための若干の重要問題に関する中央委員会の決定」を採択した。
◆国家安全委員会の設立は、三中全会直前に発生した天安門への車両突入事件や山西省での爆破事件など、中国共産党を標的としたとみられるテロや暴動への危機感の表れであり、社会統制は一段と強化されるリスクが高まったといえる。
◆三中全会のコミュニケは今後の中国の改革の方向性を示す青写真と位置付けられ、様々な分野について、必要とされる改革を網羅的に記述している。こうした中、大和総研では、「都市と農村の二元構造が、都市と農村の一体化した発展の主な阻害要因となっている」との一文に注目している。コミュニケ全体を通じて、この部分だけが、現状を否定的に捉えることから始まっており、「都市と農村の二元構造」改善のための土地制度改革と戸籍制度改革が、数多の改革の中でも優先順位がかなり高いと考えられるためである。
◆経済面では、これまでの基本路線の再確認にとどまっているというのが、正直な印象である。期待された国有企業改革や税制改革でも新たな方針は示されていない。三中全会の参加者である共産党幹部自体が既得権益者を代表し、改革に対する抵抗勢力ともなり得る中、抜本的な改革の難しさが露呈していよう。
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