中国:輸出改善による景気下振れリスクの減退

8月に生産関連が回復

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2013年09月19日

サマリー

◆中国の主要経済指標では、2013年6月をボトムに生産関連の回復が目立つ。鉱工業生産は6月の前年同月比8.9%増から8月は同10.4%増と、2012年12月以来の2桁増となった。生産の回復は、輸出改善によるところが大きい。固定資産投資は1月~6月の前年同期比20.1%増から1月~8月は同20.3%増と0.2%ポイントの加速にとどまり、小売売上は6月以降、前年同月比13.3%増、同13.2%増、同13.4%増と明確な改善は見られない。一方で、輸出は6月の同3.3%減から7月は同5.1%増、8月は同7.1%増へと改善している。


◆今後の輸出は、冬場から来春にかけて、統計としては芳しくない数字が発表されても、実態は改善傾向が続こう。中国の輸出統計は2012年冬場から2013年3月にかけて、「偽輸出」によって大きく水増しされた可能性が高く、今冬から来春の輸出統計は、それを比較対象とするため、伸びが低く出やすくなる。特に、2014年3月は実態より10%ポイント程度下振れした数字が出てくる計算となる。しかし、需要面では、輸出相手、特に先進国の景気動向が重要であり、これら先進国の景気が上向くことで、中国の輸出環境が改善する。「偽輸出」要因を除くと中国の輸出は、実態としては回復傾向が続く可能性が高い。生産への波及効果でいえば、重要なのは当然のことながら統計上の輸出ではなく、実態である。輸出回復が中国経済の下振れリスクを減じようとしている。

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