サマリー
◆中国証券監督管理委員会(CSRC)、中国人民銀行、国家外貨管理局は2013年7月12日に、QFIIの投資認可額上限を従来の800億米ドルから1,500億米ドルに引き上げると発表した。現在、香港のみに認められているRQFIIについては、テスト地域として台湾、シンガポール、ロンドンを加える方針も発表している。
◆CSRCによると、足元でQFIIとRQFIIが保有するA株の時価総額は、A株全体の流通時価総額の1.6%にすぎないという。QFIIの新たな上限1,500億米ドルとRQFIIの上限2,700億元の全てを使ってもその比率は5.1%に上昇するにとどまる。
◆QFIIの投資認可額上限の大幅引き上げやRQFIIのテスト地域拡大は、当然、中国の証券市場の対外開放や国際化推進にとって、重要な措置である。しかし、QFIIの累計認可額は434.63億米ドルと従来の上限800億米ドルにはまだまだ余裕があり、なぜこの時期に1,500億米ドルまでの拡大を発表したのかという疑問は残る。恐らく、2012年10月以降ストップしているIPOの再開による需給悪化懸念をQFIIの投資認可額上限の引き上げで和らげようとしているのであろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
中国:四中全会、関税、そして日中関係悪化
米関税下げで2026年の経済見通しを上方修正、ただし内需は厳しい
2025年11月25日
-
【更新版】中国:100%関税回避も正念場はこれから
具体的な進展は「フェンタニル関税」の10%引き下げにとどまる
2025年11月04日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

