サマリー
◆6月第1週に、中国の北京・天津で現地の政府系シンクタンクや日系企業などを訪問する機会を得た。以下ではそこで得られた知見を踏まえ、中国経済の現状と政府の対応、そして今後の見通しについて報告する。
◆習近平総書記が打ち出した倹約令が消費にもたらす影響について、現地のヒアリングでは、地方政府が開催する投資プロジェクトの説明会後に設けられていた宴席がなくなった話、さらにはギフトカードの売上や国有企業などによる集団購入が大きく落ち込んだ話があった。しかし、統計で見ると、社会消費品小売総額のうち飲食収入は倹約令の影響を強く受けた反面、それ以外の商品売上は影響をほぼ受けなかったことから、全体ではやや減速した程度にとどまっている。
◆昨今の中国の成長鈍化に対する対応について、中国政府は成長が減速している現状をむしろ改革の契機であるとの認識を示している。今後も中国政府が巨額のインフラ投資や補助金による消費刺激策などの景気対策を打ち出すことは基本的に想定されない。もちろん、成長率が中国政府としても許容できない水準まで低下した場合、景気刺激策が打たれる可能性は高いが、その内容は4兆元の経済対策のように大掛かりなものではなく、景気を下支えする程度にとどまると想定される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
-
中国:米国の104%追加関税、悪影響には天井
累計104%の追加関税で中国の実質GDPを2.84%押し下げ
2025年04月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日