中国:目先の成長よりも構造改革を優先

中国出張報告

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2013年06月21日

サマリー

◆6月第1週に、中国の北京・天津で現地の政府系シンクタンクや日系企業などを訪問する機会を得た。以下ではそこで得られた知見を踏まえ、中国経済の現状と政府の対応、そして今後の見通しについて報告する。


◆習近平総書記が打ち出した倹約令が消費にもたらす影響について、現地のヒアリングでは、地方政府が開催する投資プロジェクトの説明会後に設けられていた宴席がなくなった話、さらにはギフトカードの売上や国有企業などによる集団購入が大きく落ち込んだ話があった。しかし、統計で見ると、社会消費品小売総額のうち飲食収入は倹約令の影響を強く受けた反面、それ以外の商品売上は影響をほぼ受けなかったことから、全体ではやや減速した程度にとどまっている。


◆昨今の中国の成長鈍化に対する対応について、中国政府は成長が減速している現状をむしろ改革の契機であるとの認識を示している。今後も中国政府が巨額のインフラ投資や補助金による消費刺激策などの景気対策を打ち出すことは基本的に想定されない。もちろん、成長率が中国政府としても許容できない水準まで低下した場合、景気刺激策が打たれる可能性は高いが、その内容は4兆元の経済対策のように大掛かりなものではなく、景気を下支えする程度にとどまると想定される。

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