サマリー
◆中国全体の非金融機関の資金調達は間接金融に依存している。しかし、銀行は中小企業向けの貸出には慎重である。中小企業にとって、株式上場による資金調達はさらに狭き門である。中小企業ボードはメインボードの一部と位置付けられ、上場基準もメインボードと同じである。新興企業ボードは、上場基準を一部緩和してはいるが、上場会社の約6割が中型企業、約4割が大型企業に分類され、小型企業はゼロである。
◆店頭市場への登録は、(1)中小企業ボードや新興企業ボードで対応できていない、中小企業に資金調達の道を拓く、(2)店頭登録の過程で、証券会社、公認会計士、弁護士など専門家の指導を受けることで、コーポレート・ガバナンスの確立が促される、(3)店頭登録による信用力向上で、銀行借入が容易になる、といったメリットが期待される。店頭市場のなかでも「新三板」市場は、高新技術型企業の登録に力を入れており、中国の中長期的な発展に欠かせない戦略的新興産業を担う民間中小企業の資金調達の場として注目されている。
◆新三板市場の最大の問題点は、株主数が200人以内に制限されていることである。このため、株式譲渡や第三者割当増資も低調で、資金調達手段としては株式上場への依存を高めざるを得なかった。このような状況を改善する動きとして、2012年6月に中国証券監督管理委員会が発表した「非上場公衆会社監督管理方法(意見聴取版)」では、株主数200人超の非上場会社(店頭登録企業)に法的な根拠を与えようとしている。この他、新三板市場の対象を全国に拡大し、登録企業数を大きく増やすこと、マーケットメイカー制度を導入するなどして流動性を高めることも検討されている。今後の動向に注目したい。
◆店頭市場への登録は、(1)中小企業ボードや新興企業ボードで対応できていない、中小企業に資金調達の道を拓く、(2)店頭登録の過程で、証券会社、公認会計士、弁護士など専門家の指導を受けることで、コーポレート・ガバナンスの確立が促される、(3)店頭登録による信用力向上で、銀行借入が容易になる、といったメリットが期待される。店頭市場のなかでも「新三板」市場は、高新技術型企業の登録に力を入れており、中国の中長期的な発展に欠かせない戦略的新興産業を担う民間中小企業の資金調達の場として注目されている。
◆新三板市場の最大の問題点は、株主数が200人以内に制限されていることである。このため、株式譲渡や第三者割当増資も低調で、資金調達手段としては株式上場への依存を高めざるを得なかった。このような状況を改善する動きとして、2012年6月に中国証券監督管理委員会が発表した「非上場公衆会社監督管理方法(意見聴取版)」では、株主数200人超の非上場会社(店頭登録企業)に法的な根拠を与えようとしている。この他、新三板市場の対象を全国に拡大し、登録企業数を大きく増やすこと、マーケットメイカー制度を導入するなどして流動性を高めることも検討されている。今後の動向に注目したい。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
中国:四中全会、関税、そして日中関係悪化
米関税下げで2026年の経済見通しを上方修正、ただし内需は厳しい
2025年11月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

