中国:新三板市場の現状と課題、今後の発展の方向性

戦略的新興産業の発展に必要不可欠な新三板市場

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2012年09月04日

サマリー

◆中国全体の非金融機関の資金調達は間接金融に依存している。しかし、銀行は中小企業向けの貸出には慎重である。中小企業にとって、株式上場による資金調達はさらに狭き門である。中小企業ボードはメインボードの一部と位置付けられ、上場基準もメインボードと同じである。新興企業ボードは、上場基準を一部緩和してはいるが、上場会社の約6割が中型企業、約4割が大型企業に分類され、小型企業はゼロである。

◆店頭市場への登録は、(1)中小企業ボードや新興企業ボードで対応できていない、中小企業に資金調達の道を拓く、(2)店頭登録の過程で、証券会社、公認会計士、弁護士など専門家の指導を受けることで、コーポレート・ガバナンスの確立が促される、(3)店頭登録による信用力向上で、銀行借入が容易になる、といったメリットが期待される。店頭市場のなかでも「新三板」市場は、高新技術型企業の登録に力を入れており、中国の中長期的な発展に欠かせない戦略的新興産業を担う民間中小企業の資金調達の場として注目されている。

◆新三板市場の最大の問題点は、株主数が200人以内に制限されていることである。このため、株式譲渡や第三者割当増資も低調で、資金調達手段としては株式上場への依存を高めざるを得なかった。このような状況を改善する動きとして、2012年6月に中国証券監督管理委員会が発表した「非上場公衆会社監督管理方法(意見聴取版)」では、株主数200人超の非上場会社(店頭登録企業)に法的な根拠を与えようとしている。この他、新三板市場の対象を全国に拡大し、登録企業数を大きく増やすこと、マーケットメイカー制度を導入するなどして流動性を高めることも検討されている。今後の動向に注目したい。

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