中国:補助輪付きで下振れリスクは軽減

自律回復を確信するには時期尚早

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2012年08月10日

サマリー

◆12年7月の主要経済統計が発表されたが、景気は4-6月を底に“回復”していると確信するには時期尚早の結果である。重工業の生産不振は続いており、李克強副首相の発言で注目されている3つの指標“鉄道貨物輸送量”“電力消費量”“銀行新規融資貸出高”のうち、鉄道貨物輸送量は低下し、年初来累計比でリーマン・ショック後初めてマイナスとなる状況が目前となっている。

◆ただ、一部では、“景気の底の形成”に入ったと想定される動きが見られた。消費も実質でみれば底堅く、これから新学期のスタート、国慶節など消費シーズンが始まり、消費意欲が高まりやすい時期に突入する。また、政府が主導した小規模企業への融資がマインド改善を演出しているように思われる。国家予算を中心とする固定資産投資も引き続き促進されている模様で、年末にかけてGDP押し上げの重要要素となり得る。

◆特に輸出関連企業の経営が難しい環境下で、昨年ピークを迎えた産業の再編・海外進出が再び課題として浮上している。第12次5カ年計画でも、各産業で同様の指摘があるため、今後、再編・海外進出が活発化していく可能性もあろう。

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