中国:2ヵ月連続の利下げ

国有大企業中心の投資主導の景気回復へ

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2012年07月06日

サマリー

◆中国人民銀行は7月6日に、2ヵ月連続の利下げを実施。今回の利下げでは、同時に最優遇貸出金利を従来の貸出基準金利の0.8倍から、0.7倍に設定するとした。最優遇貸出金利の恩恵を受けるのは、農業、インフラ、保障性住宅、戦略的新興産業などの優先分野を担う国有大企業に限定され、景気テコ入れ策が強化されるにつれて、貸出全体に占めるウエイトは高まることになろう。

◆2008年11月に発表された4兆元の景気対策では、政策の恩恵が集中した国有大企業が躍進する一方で、恩恵を受けられなかった民間の中小企業の勢力が後退する「国進民退」という問題が発生した。今回の2ヵ月連続の利下げと、最優遇貸出金利の下限引き下げでは、この「国進民退」が一段と助長される懸念がある。今後の景気回復は、国有大企業中心の投資主導となる公算が大きい。

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