中国:農民工の地元志向による成長の「西高東低」

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2012年06月21日

サマリー

◆国家統計局が発表した「2011年中国農民工調査監測報告」によれば、農民工の人口の伸びは東部よりも中西部の方が高く、「西高東低」の様相を呈している。

◆背景には、省外へ出稼ぎに行く農民工が減少しているという事情があり、この理由として(1)最低賃金の引き上げによって、農民工の賃金が東部・中部・西部間でほとんど差がなくなったこと、(2)中西部では、インフラ整備をはじめとした急速な経済発展が続く過程で、建設業をはじめとした雇用機会が拡大したこと、が考えられる。

◆今後も、特に中西部ではインフラ整備による都市化が着実に進展することで、出身地域の近くへ出稼ぎに行く農民工がますます増えていくと考えられる。これらの地域では、今後もインフラ投資による雇用拡大が、民間企業も含めた投資や消費拡大の呼び水となり、中期的にも相対的に経済成長の「西高東低」が続こう。

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