サマリー
◆2003年の法改正でマクロ調整機能に特化することになった中国人民銀行の制度面の特徴として、「中央銀行の独立性」の問題、「人民銀行行長の権限・影響力の程度」、「中央と地方、特に上海との緊張関係」に注意する必要がある。
◆人民銀行は、金融政策手段として、預金準備率の変更に大きく依存してきているが、その背景には、金利調整に比べ関係者の合意が得やすいこと、伝統的に政府が低金利下で成長率維持を図ろうとする傾向が強いこと等がある。
◆マネーサプライも、成長率との関係で過剰に供給される傾向が見られてきたが、これにも、中央銀行が、成長率を重視する政府や国有企業等の既得権益集団からの影響を強く受けてきたという背景が指摘できる。
◆マネーサプライの動向、さらには市場に根ざした金融政策へ転換していくかどうかは、社会経済上の構造問題が改善しつつあるのかを測る指標にもなる。さらに、適切な金融政策立案の前提として、金融統計の信頼性の問題にも注意する必要がある。
(注)本稿は、外国為替貿易研究会発行の雑誌「国際金融」2012年3月号に掲載されたものである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
-
中国:米国の対中追加関税率は累計104%→145%、中国経済への悪影響はほぼ変わらず
中国は交渉(ディール)の用意があることを示唆
2025年04月11日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日