サマリー
2011年12月の中国の外国為替資金残高は1,003億元減少し、3ヵ月連続の減少となった。
昨年11~12月にBRICs諸国のすべてで外貨準備が減少したことから、これは国内要因(例えば、自国経済の減速懸念)ではなく、国外要因が主因と考えられる。具体的には、欧州債務危機の深刻化により海外の金融機関が自己資本の増強に迫られ、また投資家がリスク回避的になったことで、資金が新興国から流出したことが主因だろう。昨年10~12月の中国のホットマネー(外国為替資金残高増減-貿易収支-直接投資で計算)は合計で6,426億元の流出となり、これは四半期ベースでは2005年以降最大となった。
中国は2000年から2011年夏場にかけて、海外から国内へ多額の資金が流入した。中国人民銀行を中心にした金融機関はこの外貨資金を買い入れし、それに見合う人民元を放出。これが外国為替資金残高として積み上がったのである。当然、人民銀行は流動性吸収のために売りオペや預金準備率の引き上げを行ったが、不胎化しきれなかった部分は過剰流動性となり、不動産バブルや物価上昇の一要因となった。しかし今回、中国国内から海外へ資金がネットで流出し、当面は少なくともこれまでのように資金が急激に流入することは考えにくい。人民銀行が預金準備率を高い水準で保つ理由の1つは大きく後退したのである。人民銀行は、昨年12月5日に預金準備率を引き下げたが、今後の引き下げ余地は大きく拡大しているといえよう。
昨年11~12月にBRICs諸国のすべてで外貨準備が減少したことから、これは国内要因(例えば、自国経済の減速懸念)ではなく、国外要因が主因と考えられる。具体的には、欧州債務危機の深刻化により海外の金融機関が自己資本の増強に迫られ、また投資家がリスク回避的になったことで、資金が新興国から流出したことが主因だろう。昨年10~12月の中国のホットマネー(外国為替資金残高増減-貿易収支-直接投資で計算)は合計で6,426億元の流出となり、これは四半期ベースでは2005年以降最大となった。
中国は2000年から2011年夏場にかけて、海外から国内へ多額の資金が流入した。中国人民銀行を中心にした金融機関はこの外貨資金を買い入れし、それに見合う人民元を放出。これが外国為替資金残高として積み上がったのである。当然、人民銀行は流動性吸収のために売りオペや預金準備率の引き上げを行ったが、不胎化しきれなかった部分は過剰流動性となり、不動産バブルや物価上昇の一要因となった。しかし今回、中国国内から海外へ資金がネットで流出し、当面は少なくともこれまでのように資金が急激に流入することは考えにくい。人民銀行が預金準備率を高い水準で保つ理由の1つは大きく後退したのである。人民銀行は、昨年12月5日に預金準備率を引き下げたが、今後の引き下げ余地は大きく拡大しているといえよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日