中台経済連携強化に見る双方の思惑

中国の第12次5カ年計画を後押しする台湾

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2012年01月24日

サマリー

◆台湾では2012年1月14日、総統選挙と立法院選挙が行われた。結果は、国民党候補の馬英九氏が総統に再選され、立法院では国民党が過半数を維持した。馬氏が初当選した08年以降進めた対中経済緊密化政策は、大きく方針が転換することはないだろう。ただ、対中国での韓国などとの競争激化を背景に、ASEANなどにも活路を模索する動きも活発化すると思われる。

◆一方、中国の台湾依存度は低下してきており、中国が重視する経済圏はASEAN・インド・中東と、南・西へと広がっている。では、中国の中台関係に対する思惑は何か。1つは台湾の対中政策が中国政府の第12次5カ年計画に大きく沿っており、下支えとなる点だ。台湾からの直接投資が産業の高度化、西部開発を後押しする。ECFA(両岸経済協力枠組協議)の浸透で企業の利益率の維持を実現させ、最低賃金引き上げなどの政策をスムーズに実施させることが可能になろう。また、香港・日本・韓国から最良条件を引き出すツールにもなる。

◆欧州債務危機により中国の貿易は鈍化しており、社会不安を醸成しやすい。ECFAのさらなる深化は中国の生産や雇用を刺激する材料として注目されていくだろう。

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