サマリー
欧州財政危機を発端とする世界景気鈍化から中国でも輸出鈍化懸念が台頭している。加えて外部環境の悪化が各国の対中貿易摩擦の不満を増大させている。例えば、米国が中国製品に対する反ダンピング課税を訴え、中国と蜜月な関係をアピールしてきたブラジルも人民元の評価でWTOを介し、対立姿勢を露わにするなど、太平洋を挟み中国に対する風当たりは強い。
中国も輸出依存の限界を認識しており、知的・人的財産への投資により自国の産業構造の不均衡の是正を急ぎ、同時に、賃金上昇などに伴う労働集約的産業の競争力低下による産業空洞化のリスクヘッジを模索している。この方法として、各国と互恵関係促進を目的とした対外直接投資を重視する発言が目立つようになってきた。具体的には11月10日、中国証券監督管理委員会主席が外貨準備の運用に関して、4分の1、もしくは半分を対外直接投資に回すことの有用性を説き、12日のAPECでも胡錦涛国家主席が貿易・投資の自由化と円滑化を全面的に推進すると演説で述べている。2010年の中国の対外直接投資は前年比21.7%増の688億ドルと世界第5位だった。直接投資と外資導入の比率で見ると1:2だったが、2015年頃には1:1の割合になるとの予測もある。
資源権益確保と、それに伴うインフラ整備を請け負う形で対アフリカの直接投資で成功を収めた中国。この戦略をASEAN諸国でも活用し、2010年には中国・ASEAN間でFTAの本格始動に至った。近年では中国が経済大国へと発展したこともあり、「ASEAN+3(日中韓)」の連携を重視する傾向にもある。さらに「ASEAN+6(印・豪・ニュージーランド)」などで、貿易摩擦を抱えながらも潜在的成長余地を背景に互いに無視できない存在のインドと歩み寄ることは、米国に対しても大きなインパクトを有するだろう。
いずれにしても、米国は2012年に大統領選を控えており、「自由貿易の活性化」を謳い、主導権を握る環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉やASEAN諸国の取り込みを加速させている。中国への圧力がさらに強まる可能性も高い。中国は、対外直接投資の円滑化を図りながら、IMF予測では8%台の成長が期待されるアジア新興国との基盤強化を急ぐことになろう。
中国も輸出依存の限界を認識しており、知的・人的財産への投資により自国の産業構造の不均衡の是正を急ぎ、同時に、賃金上昇などに伴う労働集約的産業の競争力低下による産業空洞化のリスクヘッジを模索している。この方法として、各国と互恵関係促進を目的とした対外直接投資を重視する発言が目立つようになってきた。具体的には11月10日、中国証券監督管理委員会主席が外貨準備の運用に関して、4分の1、もしくは半分を対外直接投資に回すことの有用性を説き、12日のAPECでも胡錦涛国家主席が貿易・投資の自由化と円滑化を全面的に推進すると演説で述べている。2010年の中国の対外直接投資は前年比21.7%増の688億ドルと世界第5位だった。直接投資と外資導入の比率で見ると1:2だったが、2015年頃には1:1の割合になるとの予測もある。
資源権益確保と、それに伴うインフラ整備を請け負う形で対アフリカの直接投資で成功を収めた中国。この戦略をASEAN諸国でも活用し、2010年には中国・ASEAN間でFTAの本格始動に至った。近年では中国が経済大国へと発展したこともあり、「ASEAN+3(日中韓)」の連携を重視する傾向にもある。さらに「ASEAN+6(印・豪・ニュージーランド)」などで、貿易摩擦を抱えながらも潜在的成長余地を背景に互いに無視できない存在のインドと歩み寄ることは、米国に対しても大きなインパクトを有するだろう。
いずれにしても、米国は2012年に大統領選を控えており、「自由貿易の活性化」を謳い、主導権を握る環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉やASEAN諸国の取り込みを加速させている。中国への圧力がさらに強まる可能性も高い。中国は、対外直接投資の円滑化を図りながら、IMF予測では8%台の成長が期待されるアジア新興国との基盤強化を急ぐことになろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:消費低迷の深層・非正規雇用の急増
所得格差縮小は非持続的か。社会保障不安とリスキリングの難しさ
2026年08月10日
-
中国:消費拡大15次5カ年計画を読み解く
政府は低空飛行の継続を想定か。構造問題への処方箋は書かれず
2026年08月03日
-
中国:政治の季節と景気テコ入れ策の示唆
政治局会議開催。綱紀粛正強化による経済活動の一部委縮懸念
2026年07月31日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

