中国:潮目の変化を示唆する金融統計に要注目

2011年10月の主要経済指標

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2011年11月14日

サマリー

◆インフラ向け投資が急減速しているのは、銀行の不良債権化リスクを抑制するために、貸出が精査されているためである。端的な例が鉄道投資であるが、今やそれが効きすぎてしまい、建設の一部が中断し、出稼ぎ農民の給与支払いが滞るなどの社会問題となってしまった。2012年秋に党大会開催を控える中国にとって、政治や社会の安定維持が最優先課題となっていることから、こうした社会問題の芽は大事になる前に摘み取っておく必要がある。大和総研では、国家・省級レベルのインフラ投資については、引き締め強化から資金確保とプロジェクトの着実な実施へと、政策の軸足が移っていくとみている。

◆10月の貸出増加額は5,868億元と、前年同月を175億元上回った。単月のデータで判断するのは時期尚早とはいえ、中国が行きすぎた量的引き締めの修正を始めた可能性があり、今後の動向が注目されよう。

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