サマリー
世界が注目した2011年3月の全人代から半年が経った。採択された第12次5カ年計画では内需拡大をテーマに第三次産業の発展や、7つの戦略的新興産業の強化が指示され、産業構造の高度化が急がれているとの印象があった。
中国の産業構造は製造業が中心である。10年実績で、第二次産業のウェイトは46.8%であり、自動車業界だけでも、依存度は日米をはるかに超え、対GDPの寄与率が6.1%、税収への貢献率が13%、雇用は4,000万人超で都市就労人口の12%を占める。
一方、各管轄省庁等から発表された各業界の11年1-6月期の売上高を比較すると、自動車業界が前年比一桁成長に留まっている一方で、小売業界は上場企業の1/3が50%超成長を達成、ソフトウェア産業も売上高が約3割の伸びとなり、産業のサービス化が進んでいることも確認できた。米経済誌フォーブス(アジア版)がまとめたアジアの中小企業200社ランキングでは、ネット事業会社など中国・香港から最多の65社が入選。世界的な地位向上も徐々に図られているように思われる。
とはいえ、多くの中小企業の経営環境は厳しい状況にある。中小企業は都市部の雇用の約75%、新規雇用の約90%を担うだけでなく、成長性や付加価値の高い業種の開拓という期待もかかっているが、国内外の競争激化、資金調達難、生産コスト高、元高の逆風が吹いていることも事実である。1割が高度化、2割が業態の転換で生き残りを図っているものの、多くが解決策を見出せていないとの見方もある。放置すれば、国営企業など既に巨大化した企業のみが一部の富裕層を形成するシステムが温存されよう。
省庁・企業連合体は続々と第12次5カ年計画を達成するための具体的な計画・目標を提示してきている。中国政府が内なる課題だった産業構造の高度化のタイミングと見たなら、第三次産業の発展や、7つの戦略的新興産業の育成を徹底的に実行する必要があろう。なかでも、牽引役と期待される中小企業が存分に力を発揮できるよう、資金調達や平等な競争条件などの環境整備が不可欠だろう。欧米の財政問題を発端とする世界的な景気減速懸念があるなら、なおさら、それを実行に移すまでの迅速さが問われていよう。
中国の産業構造は製造業が中心である。10年実績で、第二次産業のウェイトは46.8%であり、自動車業界だけでも、依存度は日米をはるかに超え、対GDPの寄与率が6.1%、税収への貢献率が13%、雇用は4,000万人超で都市就労人口の12%を占める。
一方、各管轄省庁等から発表された各業界の11年1-6月期の売上高を比較すると、自動車業界が前年比一桁成長に留まっている一方で、小売業界は上場企業の1/3が50%超成長を達成、ソフトウェア産業も売上高が約3割の伸びとなり、産業のサービス化が進んでいることも確認できた。米経済誌フォーブス(アジア版)がまとめたアジアの中小企業200社ランキングでは、ネット事業会社など中国・香港から最多の65社が入選。世界的な地位向上も徐々に図られているように思われる。
とはいえ、多くの中小企業の経営環境は厳しい状況にある。中小企業は都市部の雇用の約75%、新規雇用の約90%を担うだけでなく、成長性や付加価値の高い業種の開拓という期待もかかっているが、国内外の競争激化、資金調達難、生産コスト高、元高の逆風が吹いていることも事実である。1割が高度化、2割が業態の転換で生き残りを図っているものの、多くが解決策を見出せていないとの見方もある。放置すれば、国営企業など既に巨大化した企業のみが一部の富裕層を形成するシステムが温存されよう。
省庁・企業連合体は続々と第12次5カ年計画を達成するための具体的な計画・目標を提示してきている。中国政府が内なる課題だった産業構造の高度化のタイミングと見たなら、第三次産業の発展や、7つの戦略的新興産業の育成を徹底的に実行する必要があろう。なかでも、牽引役と期待される中小企業が存分に力を発揮できるよう、資金調達や平等な競争条件などの環境整備が不可欠だろう。欧米の財政問題を発端とする世界的な景気減速懸念があるなら、なおさら、それを実行に移すまでの迅速さが問われていよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
中国:関税引き下げを受け、見通しを上方修正
25年は3.9%→4.8%、26年は4.0%→4.2%に上方修正
2025年05月23日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
-
中国:トランプ関税2.0で25年は3.9%成長へ
迂回輸出は当面温存。「トランプ関税2.0」の長期化は想定せず
2025年04月23日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日