2023年05月22日
サマリー
◆2018年度から2022年度の5期間では、自社株買いを行った企業の株価上昇率が、行っていない企業よりも高い傾向にある。株式相場が比較的落ち着いていた2018、2021、2022年度では、両者の差は約2.5%ポイントあった(上位25%値、中央値、下位25%値の平均での比較)。
◆自社株買いと株価上昇率の関係では、PBRの水準による差は見られない。ただし、「発行済み株式数(除く自己株式)に対する年間の取得株式数の比率が高いほど、株価上昇率も相対的に高くなっている」という関係は、PBRが1倍を下回っているケースでより顕著となっている。
◆3月に東京証券取引所が発表した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」では、経営層が主体となって資本コストや資本収益性を十分に意識した経営を積極的に目指すことを要望されている。この5期間での結果を基にすると、PBRが1倍割れで、かつ総資産に対する自己資本の比率が高い企業では、今後の資本コストや株価を意識した経営の手段として、自社株買いを活用するメリットが大きいだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
CGコードでの現預金保有の検証に対する上場会社の懸念
一見対立しているようだが、通底する投資家と会社側の意見
2025年11月07日
-
非上場株式の発行・流通を活性化する方策
「スタートアップ企業等への成長資金供給等に関する懇談会」が報告書を公表
2025年10月29日
-
親子上場などに関する開示議論の再開
不十分な開示状況に対して、開示項目の記載必須化に向けた議論も
2025年10月27日

