2022年04月21日
サマリー
格差の縮小や企業支配の適正化のために、上場企業の株主権に制限を設けようとする、いわゆるステークホルダー資本主義に関する政策は数多い。従業員の代表者を取締役会に参加させるべきと米英の著名な政治家が提言し、人気のある経済学者は大株主の議決権を制限すべきと主張している。一株一議決権の原則のもとで、ステークホルダーへの企業価値の配分を増大させるため、株主の議決権に制限を設けようとする政策は整合的である。
しかし、企業価値を増やすには、むしろ企業に愛着を持ち、業界の状況を熟知する者に経営を委ねることも効果的であろう。創業者等による企業支配を確実なものにするための複数議決権株式は、積極的な検討に値する。米国では、複数議決権株式発行企業の新規上場が増加傾向にあり、英国ではそのような企業の上場を後押しするために上場規則を改正した。ステークホルダー資本主義と異なる方法で、格差の拡大を抑えながら企業の成長を実現しようとする政策だ。
わが国では、複数議決権株式発行企業の上場は、ストップしたままである。企業の成長によって経済を活性化しようというならば、複数議決権株式の活用を考えてもよいのではないか。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
家計金融資産の現状と家計の国債保有
2026年6月末の家計金融資産は2,519.1兆円で過去最高に。国債保有は引き続き増加
2026年09月18日
-
DOE・累進配当の採用拡大が続く主要企業の株主還元方針
TOPIX500企業の約7割が比率目標を掲げる
2026年09月18日
-
データが語るコーポレートファイナンス No.3 増える社債発行額、増えない発行体
潜在的な社債発行企業を起債確率により推計
2026年09月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
-
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
-
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
-
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
-
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日
2026年ジャクソンホール会議の注目点は?
ウォーシュ議長はインフレ抑止に対する姿勢を明確に打ち出すか
2026年08月20日
“TACO”指数で読む トランプ大統領の“TACO”化の兆し
市場と世論が映す政策転換のサイン
2026年08月13日
高市政権誕生後の長期金利をどうみるか
2035年に3.3~4.0%程度で、海外保有拡大で更なる上昇も
2026年08月12日
第230回日本経済予測
円安・金利上昇下の日本経済と成長力強化への課題①AI活用による経済への影響、②資産市場と経済の好循環、を検証
2026年08月21日
GPIFガバナンス改革の功罪と課題解決の道
目先の運用見直しの可能性は低いが、硬直的運用への対応が課題
2026年08月13日

