2021年01月22日
サマリー
◆近年の住宅ローンの傾向として、住宅ローン保有の若年化と、返済負担率の高い借入を行う家計の比率が上昇している点が指摘できる。これらの傾向は平時では問題とならないものの、経済ショック時には延滞率の上昇などのリスクを強める要因となりうる。
◆2020年9月末までの住宅ローン延滞率と金融機関に対する貸付条件の変更等の申込状況を確認すると、コロナショックの影響でそれぞれ上昇している。しかし、2020年第2四半期の実質GDPが統計の開始以降で最大の落ち込みであった中では、限定的である。その背景には、家計支出を主に支える者の雇用への影響がさほど顕在化していないことが挙げられる。
◆足元の緊急事態宣言再発令に伴い雇用調整が進めば、延滞率は上昇していく可能性がある。また、経済状況の悪化に伴い、住宅ローンの貸付条件の変更等の申込も増えるとみられるが、一定期間の元金返済猶予などは一時的な対処にすぎない。経済の回復が遅れれば、猶予を受けた家計が再び返済に窮する事態も想定される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
個人株主の議決権行使比率は高められるか
「飛び道具」は無いため、株主負担の地道な引き下げが重要
2025年03月26日
-
TOPIX500企業の配当方針の分類と変化
配当性向にDOE等を組み合わせる例が増加。累進配当は43社が導入。
2025年03月12日
-
グロース市場版「PBR改革」の要請
停滞脱却に向けたグロース市場改革
2025年03月04日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日