2019年02月15日
サマリー
◆一国の基盤をなす人口の減少は、実体経済と金融部門の縮小をスパイラル的に進行させる可能性がある。地域銀行のビジネスに関しては、家計および企業の資金需要の減少と、それに伴う貸出競争の激化などを通じた収益悪化リスクが指摘できる。また、潜在成長率とともに名目金利水準が低下し、低金利環境が長期化すると、地域銀行の収益に対してマイナスに働く。
◆企業動向については、企業・事業所数が減少傾向にあることや、設備投資が停滞していることが注目される。企業数の減少は、事業性資金の貸出先の減少を意味しており、地域銀行の貸出残高に対してマイナス方向に作用する。また、期待成長率の低下に伴う設備投資の慎重姿勢が、設備投資向け融資に対してマイナスに影響してきた。
◆人口減少の影響については、地域別に大きな濃淡があり、総人口の「増・減」によって、地域銀行が直面する景色は全く様変わりする。総人口の転入超過数の状況は、「東京圏への一極集中」の様相を呈している。都道府県別の企業数の変化(2009~2016年)は、規模の小さな企業の減少が顕著である。地域銀行の貸出先は、メガバンクに比べて中小企業の比率が高く、規模の小さい企業が減少することの影響も相対的に大きくなる。
◆日本で人口減少が本格化するのは、まさにこれからだ。現状を勘案すると、1億人程度の人口を維持するという政府の長期ビジョンの目標を実現するためのハードルは非常に高い。2045年の総人口が2015年から▲30%超減少する見込みの6県は、「人口激減時代」と呼べるような深刻な状況に陥ることになる。企業側に目を向けると、将来的に中小企業の廃業が増加して、日本の経済社会に大きな影響を及ぼす可能性がある。
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