2018年07月23日
サマリー
日本株式市場全体の株主構成を見ると、最も保有比率が高いのは外国人投資家で、次いで事業会社、信託銀行、個人投資家が続く(2017 年度時点)。
近年は日銀のETF購入の影響で、信託銀行の保有比率が上昇しており、市場全体に占めるパッシブ運用の比率も上昇している。パッシブ投資家はアクティブ投資家に比べ、投資先企業に対して“ 物を言わない” と言われてきたが、日本版スチュワードシップ・コードの導入もあり、エンゲージメント等に力を入れ始めている。アクティブ投資家は投資先企業の経営に不満があれば株式を売却する選択肢を取り得るが、パッシブ投資家は不満の有無にかかわらず株主であり続けるため、企業は腰を据えて向き合う必要がある。
また、コーポレートガバナンス・コードの改訂により、今後、事業会社の政策保有株式の削減が進み、安定株主の減少が予想される。受け皿となるのは個人投資家か外国人投資家のいずれかであり、企業は自社の業務内容に応じて、受け皿となる株主を戦略的に増やしていく必要があるだろう。
企業にはこうした株主構成の変化・投資家行動の変化に対応する“ 株主マネジメント” が求められる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
意見分かれるグロース市場の上場維持基準見直し案
2025年9月に制度要綱が公表予定
2025年07月28日
-
2025年上半期の配当方針等の変更と株価
減益予想が増えるも、累進配当やDOE採用による増配効果が下支え
2025年07月03日
-
CGコードの見直しで会社の現預金保有に焦点
現預金の必要以上の積み増しについて検証・説明責任の明確化を検討
2025年06月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日