2018年01月26日
サマリー
◆米国の約半分の家計が株式を保有している。日本と異なるのは、資産形成を必要とする現役世代を中心に、相対的な若年層も少額ながら株式を保有している点である。これは退職貯蓄を経由した間接保有の存在が大きい。
◆米国の退職貯蓄は名目GDPのおよそ1.4倍の規模である。IRA(個人退職勘定)や401kなどの確定拠出型の年金が中心で、退職貯蓄の半分は投信である。家計が投信を直接保有する分を含めて、米国の家計は投信を経由した株式保有を増やしてきたと言える。
◆個人(家計)にとって、退職貯蓄制度は、制度の持続性が懸念される公的年金(ソーシャルセキュリティ)を補完するものとなり、また、証券市場での運用の訓練になったとみられる。マクロ的な資金仲介構造における退職貯蓄の位置づけは、米国は経常収支赤字国であるにもかかわらず、国内にリスク性の長期の資金が存在することだと考えられる。
◆米国の規模と比較すると、日本の年金は相対的に少ないことになる。経常収支の黒字国であり、国内の資金が不足しているわけではないが、公的年金の積立金取り崩しが始まったことから、個人の退職後の貯蓄としても、資金仲介上リスクを取れる長期資金としても、退職貯蓄の積み上げが望まれる。
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