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米国投信市場における退職貯蓄制度の役割

加入者目線での制度の見直し、投資アドバイス体制の確立がカギ

2017年09月05日

政策調査部 研究員 佐川 あぐり

政策調査部 主席研究員 土屋 貴裕

サマリー

◆米国の家計金融資産においては、間接的な株式保有が増加している。主に投資信託(以下、投信)を通じた株式保有の増加が要因と思われるが、投信については退職貯蓄制度(各種の年金制度)による保有が拡大している。老後に向けた退職貯蓄の増加が、株式の間接保有を促していると言えよう。


◆退職貯蓄の過半を占めているのが、自助努力の制度である確定拠出年金(DC:Defined Contribution Pension Plan)と個人退職口座(IRA:Individual Retirement Account)であり、税制優遇があり個人の資産形成に資する制度として普及した。それぞれ資産の半分程度が投信で構成され、投信へのアクセスにも大きな役割を果たしている。


◆米国の投信市場は、国内株式型から、徐々にその他のタイプへシフトする動きが続く。また、401(k)プランを経由したターゲット・デート・ファンドやノーロードファンドの残高が増加するなどの動きも見られる。退職貯蓄制度の拡大は、投信市場の拡大をけん引し、個人の資産形成において長期分散投資を可能にしていると言えよう。


◆わが国でも、自助努力による資産形成の重要性は増しており、近年はDCの制度改正など、制度整備が進んでいる。今後は、多くの国民が利用しやすい制度として普及していくことが望ましい。中途引き出し要件の緩和や、加入者主導による拠出の仕組みの検討など、加入者目線に立った制度の見直し、また、退職後の資産形成に資するような投資を促進するという観点から、投資アドバイス体制の確立などが、米国の状況から得られる示唆となるのではないか。

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