2017年11月14日
サマリー
◆BIS の統計によれば、2017年6月末の国際与信残高は24.9兆ドルと、2四半期連続で増加した。与信側(銀行側)を見ると、欧州の銀行は欧州先進国向けの与信を中心に残高を増加させた。米国の銀行はオフショア向け・新興国向けを中心に残高を伸ばした。
◆邦銀の国際与信残高は、2010年代に入り増加基調にあったものの、2016年第3四半期以降は横ばいとなっている。2017年6月末の国際与信残高は微減だった。債券価格の下落リスクを警戒した邦銀が中長期債を大幅に処分したこと、ドル調達コストの上昇等で海外貸出における採算性の審査を厳格化する動きが強まっていること等が背景にあると考えられる。
◆与信受入側で見ると、欧州先進国向けが国際与信残高の増加に寄与している。FRBの利上げにより資本流出が懸念された新興国向けの与信も残高増となっている。そのうち、2014年6月末をピークに減少が見られた中国向け与信も足元では増加している。ただし、中国向け与信は、短期与信比率が高いことから、満期到来に伴う資金流出が発生しやすい構造にあり、今後も注視が必要かもしれない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
独立社外取締役の「独立性」基準の見直し
2026年は親子上場などに関連する規則の見直しの動きが活発に
2025年12月25日
-
日本銀行が利上げを決定
次の注目点は中立金利の推計
2025年12月22日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

