国際与信は再び中国へ向かう

BIS 報告銀行による国際与信残高統計(2017年第2四半期)

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サマリー

◆BIS の統計によれば、2017年6月末の国際与信残高は24.9兆ドルと、2四半期連続で増加した。与信側(銀行側)を見ると、欧州の銀行は欧州先進国向けの与信を中心に残高を増加させた。米国の銀行はオフショア向け・新興国向けを中心に残高を伸ばした。


◆邦銀の国際与信残高は、2010年代に入り増加基調にあったものの、2016年第3四半期以降は横ばいとなっている。2017年6月末の国際与信残高は微減だった。債券価格の下落リスクを警戒した邦銀が中長期債を大幅に処分したこと、ドル調達コストの上昇等で海外貸出における採算性の審査を厳格化する動きが強まっていること等が背景にあると考えられる。


◆与信受入側で見ると、欧州先進国向けが国際与信残高の増加に寄与している。FRBの利上げにより資本流出が懸念された新興国向けの与信も残高増となっている。そのうち、2014年6月末をピークに減少が見られた中国向け与信も足元では増加している。ただし、中国向け与信は、短期与信比率が高いことから、満期到来に伴う資金流出が発生しやすい構造にあり、今後も注視が必要かもしれない。

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