仮想通貨は経済・金融システムをどのように変えるのか

『大和総研調査季報』 2016年7月夏季号(Vol.23)掲載

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サマリー

本稿では、仮想通貨の特徴や発展の背景、課題や政策対応について整理し、仮想通貨が既存の経済・金融システムにどのような影響を与えるのかという点について考察する。


Fintechが関心を集める中、鏑矢的存在である仮想通貨よりもそれを支える技術であるブロックチェーンに対する期待度が高まっている。しかし、仮想通貨の発展可能性も軽視するべきではない。仮想通貨が発展したのは既存の金融システムに様々な課題が存在し、それを解決し得る一手段として期待されたからである。例えば、仮想通貨は中央主体に依存しないブロックチェーン技術という決済・送金システムに基づいており、既存の中央主体に基づく決済・送金システムに比べて低コストの決済・送金が可能となる。他方で、仮想通貨に対する期待度が相対的に高まらないのは、仮想通貨が有するリスクや限界が存在することも示している。限界とは、新たな決済・送金システムが、既存のシステムとの間に利害関係を生じさせ得ることだ。


このような可能性と限界の混在は、仮想通貨に限ったことではなく、多岐にわたるFintechに共通することである。Fintechの将来を占う上でも、仮想通貨の動向が注目される。


大和総研調査季報 2024年春季号Vol.54

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