2015年01月07日
サマリー
◆本稿では、「量的・質的金融緩和」における設備資金貸出の動向について考察する。また、金融政策のトランスミッション・メカニズム(波及径路)が、我が国の現状の設備資金貸出にどのように作用しているかについても検討する。
◆設備資金貸出残高は2006年度以降、緩やかな増加基調にあり、2014年9月末時点では80.1兆円と、2013年度末比で1.5%増加している。2012年度以降、中小企業向けの寄与が大きくなっており、設備資金需要の幅が広がっている様子が窺える。
◆2012年末以降、貸出が「想定よりも強い」とされているが、その背景にある、①株価の上昇、②名目金利の低下、③期待インフレ率の上昇、④低い不良債権比率を検討した。これらを金融政策のトランスミッション・メカニズムの各チャンネルにあてはめれば、一部のチャンネルでは効果を捉えることができるが、そうではないチャンネルもある。
◆1990年代以降、設備資金新規貸出額の増減は、概ねキャッシュフローの増減に一期遅れていた。だが、ここ数年は同時的に増加を示している。
◆設備資金貸出の今後の動向をみる上での視点として、①金融政策の効果がさらに明確になるか、②企業財務の面から外部資金(借入)調達の活用が増加するか、③金融緩和が地方や中小企業における設備資金貸出の増加をもたらすかどうか、という点があげられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日