2012年10月25日
サマリー
◆バブル崩壊後、日本経済は成長が滞り、「失われた20年」と評されることも多い。その中でも、資本市場の停滞は目を覆うばかりである。資本市場の活性化の必要性については、幾度となく問題意識が提起されたにもかかわらず、いまだ抜本的な解決策は見つけ出せていない。
◆今回、大和総研金融調査部では、資本市場における「失われた20年」を振り返り、停滞要因の整理を試みた。本質的な問題点を洗い出し、今後、実効性のある活性化策を議論する際の土台とすることが目的である。
◆第1章では、はじめに、資本市場における問題意識の整理を行った。資本市場の低迷には様々な要因が絡み合っているが、俯瞰してみると6つのサイクルの存在が浮かび上がる。具体的には、[1]イノベーション停滞のサイクル、[2]家計資産運用の保守化サイクル、[3]年金資産運用の保守化サイクル、[4]証券業者の行動変化サイクル、[5]銀行行動の保守化サイクル、[6]企業の実物投資停滞サイクル、である。
◆次に、なぜ、資本市場を活性化させなければならないのか、について持つべき共通認識を挙げた。資本市場の機能としての、[1]長期資金の供給機能、[2]事業リスクの引き受け手を発見する機能、[3]イノベーション促進の機能、[4]資金運用の場の提供、[5]資源を効率的に配分する機能、[6]グローバル競争力の強化に対する貢献、という視点から整理した。
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