2012年04月05日
サマリー
◆日本銀行から全国企業短期経済観測調査(2012年3月調査)が発表された。当該調査の企業金融の項目をみると、企業の資金繰り判断DIは2%pt、金融機関の貸出態度判断DIは7%ptと、ともに前回の12月調査から横ばいであった。借入金利水準判断(最近)も-4%ptと前回調査から横ばいであったが、先行き調査は2%ptであり、先行きの借入金利水準の上昇を予想する企業が引き続き多い。
◆業種別にみると、資金繰り判断DIおよび金融機関の貸出態度判断DIともに、前回調査と比べると製造業では悪化し、非製造業では改善している。2011年度後半の売上高計画をみると、製造業が下方修正しているのに対し、非製造業はわずかながら上方修正している。売上高の見通しの差が資金繰り判断DIおよび金融機関の貸出態度判断DIの差につながった可能性がある。
◆企業規模別にみると、資金繰り判断DIおよび金融機関の貸出態度判断DIともに、前回調査と比べ大企業で悪化、中小企業では横ばいとなった(中堅企業は、資金繰り判断DIは横ばいだったものの、金融機関の貸出態度判断DIは悪化)。金融庁の中小企業金融支援策などが中小企業の資金繰りを下支えしている可能性がある。
◆2012年度は、売上高計画が前年比でプラスとなっていること、日本銀行において成長基盤強化を支援するための資金供給が拡充されたこと、国会において中小企業金融円滑化法の延長が可決されたことなどから、企業の資金繰り環境は安定的に推移することが見込まれる。一方、借入金利水準の上昇懸念も踏まえれば、資金繰り環境が安定しているうちに資金調達コスト上昇への対応を検討しておく必要があるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
安定配当型の方針が増えた2026年上半期の株主還元方針
株式相場の上昇の影響で、開示のポジティブ・インパクトは低下
2026年08月03日
-
金利のある世界で求められる地域銀行の資金調達戦略(後編)
社債発行による調達ルート多様化の可能性
2026年08月03日
-
金利のある世界で求められる地域銀行の資金調達戦略(前編)
地域銀行における預金獲得競争
2026年07月29日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

