2024年01月24日
サマリー
地域銀行は企業価値経営に向けた取り組みの本格的な議論を進めている。そこでは企業価値経営の開示への対応だけではなく、企業価値経営を組織全体に浸透させていくための対応が含まれている。企業価値経営とは、簡単に整理すれば、PBR(株価純資産倍率)の向上に向けて、純利益の安定化を図ることでROE(株主資本収益率)を改善するとともに、中長期的な企業価値向上の道筋をつけることでPER(株価収益率)を上昇させていくことである。特に地域銀行のROE向上に向けては、銀行部門のリスクアセットに対する投資効率を最大化する必要がある。その軸となる指標がRORA(リスク資産収益率)であり、ROEとの相関は高い。PERの向上に向けては、要求される資本が小さい手数料ビジネス(証券ビジネス等)の強化および新規事業等への戦略的投資が、連結ベースの純利益を安定させるために必要となる。ただし、今後、金利が上昇してリスク管理の高度化の重要度が増す中、RORAを軸とする収益管理に向けた準備は、大手の地域銀行でも万全とは言えない。このため、インオーガニックに(他社との提携・買収を通じて)企業価値経営を目指すことが地域銀行にとってなによりも重要な戦略となるのではないか。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
地域金融力強化プランを踏まえた地銀業界再編の方向性
~再編による期待される相乗効果とは~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
予測市場の現状と証券ビジネスへの示唆
未来を価格として表す市場は金融を変えるか
2026年07月02日
-
なぜ、デジタル人民元は「デジタル預金通貨」へ移行したのか
制度変更が示唆する中央銀行デジタル通貨の課題と中国の現実解
2026年06月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日


