地域銀行を巡る環境変化と今後の展望

~地域銀行は金利上昇等の事業環境の変化に準備万端か~『大和総研調査季報』2024年新春号(Vol.53)掲載

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サマリー

地域銀行は企業価値経営に向けた取り組みの本格的な議論を進めている。そこでは企業価値経営の開示への対応だけではなく、企業価値経営を組織全体に浸透させていくための対応が含まれている。企業価値経営とは、簡単に整理すれば、PBR(株価純資産倍率)の向上に向けて、純利益の安定化を図ることでROE(株主資本収益率)を改善するとともに、中長期的な企業価値向上の道筋をつけることでPER(株価収益率)を上昇させていくことである。特に地域銀行のROE向上に向けては、銀行部門のリスクアセットに対する投資効率を最大化する必要がある。その軸となる指標がRORA(リスク資産収益率)であり、ROEとの相関は高い。PERの向上に向けては、要求される資本が小さい手数料ビジネス(証券ビジネス等)の強化および新規事業等への戦略的投資が、連結ベースの純利益を安定させるために必要となる。ただし、今後、金利が上昇してリスク管理の高度化の重要度が増す中、RORAを軸とする収益管理に向けた準備は、大手の地域銀行でも万全とは言えない。このため、インオーガニックに(他社との提携・買収を通じて)企業価値経営を目指すことが地域銀行にとってなによりも重要な戦略となるのではないか。

大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

大和総研リサーチ本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。

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