2022年07月20日
サマリー
米国の商業銀行数は、統合によりこの20 年で半減している。その中で、2018 年のドッド・フランク法改正で厳格な規制や監督の対象の基準が引き上げられて中堅規模の銀行のM&Aが行いやすくなったこともあり、上場地域金融機関の中ではM&A等も活用して資産規模を拡大させているところもある。
近年の事例は、①既存エリアでのシェア上昇を企図した「ドミナント強化型」、②人口増加率が高く、企業が集積する未進出地域へのアクセスを図る「エリア拡大型」、③保険や富裕層向け資産管理ビジネス等、伝統的な資金利益以外の収益確保を狙う「事業強化型」の3つに分類でき、比較的案件規模の大きい事例ではドミナント強化型が半数を占めている。
買収先企業の人材を削減する印象が米国企業には強いが、ドミナント強化型の事例では、人員削減よりも人材の引き留めや配置転換のための教育・訓練機会を提供している。また、統合の効果では、支店数削減などのコスト削減だけでなく、互いの強みのある商品・サービスを相手の顧客に提供する等のシナジー効果への期待も大きい。円滑なシステム統合の実行力を含め、「1+1>2」となるような取り組みが合併後の成長のカギを握っている。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(後編)
GENIUS法案は如何にして米ドルの支配的地位を補強するか
2025年06月13日
-
ステーブルコイン推進へ舵を切る米国(前編)
ステーブルコインの概要と現況
2025年05月19日
-
日本のウェルス・アセットマネジメントビジネスの方向性
~米欧と同じ付加価値を追求しているか~『大和総研調査季報』2025年春季号(Vol.58)掲載
2025年04月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日