2021年05月10日
サマリー
◆昨今のデジタル給与導入に向けた動きは、2017年末以降の外国人労働者向けペイロール・カードの議論から始まった。現在、労働者の給与の資金保全や迅速な現金化対応といった「労働者保護」の問題が最大の焦点であり、労働者保護策の行方が今後の議論を大きく左右する要因となっている。
◆デジタル給与が解禁された場合、企業は、コスト削減効果よりも手間とコストが増える可能性がある点に注意したい。銀行側には、大きなメリットは生じにくく、長期的には、給与口座という銀行と顧客との接点が徐々に消失し、これまでの銀行を起点とした資金フローが大きく変化することも想定される。
◆資金移動業者にとって、デジタル給与の導入はビジネス拡大の機会となるが、銀行や同業との顧客獲得競争の激化により、デジタル給与関連事業をマネタイズ(収益化)できなくなるおそれもある。他の自社サービスとの相乗効果等を通じた収益モデルの確立が今後の課題となろう。
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