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黄砂

2013年03月29日

政策調査部 主任研究員 鈴木 裕

黄砂とは、タクラマカン砂漠、ゴビ砂漠や黄土高原など、中国大陸内陸部の乾燥地帯から風によって巻き上げられた土壌・鉱物粒子が偏西風に乗って日本に飛来し、大気中に浮遊したり降下したりする気象現象、またはその粒子状物質をいう。黄砂現象は、年間を通じて発生しているが、特に黄砂発生源の地面が乾燥し、植生が少ない春頃に多く観測される。2000年以降、観測件数が増加しており、中国の経済発展にともなう放牧や耕作の増加による砂漠化や工業汚染との関係も疑われている。


黄砂は、粒径4㎛ 程度のものが多くPM2.5よりも若干大きい。黄砂発生源に近い西日本では、粒径が大きくなる場合も見受けられるという。黄砂発生源付近では、農業・工業に大きな被害を及ぼすばかりでなく、日本国内でもビニールハウスに堆積し日光を遮るなどの影響を生じることもある。人体に吸入された場合には、呼吸器の疾患を惹き起こしたり悪化させたりする恐れもあるといわれる。一方、黄砂はアルカリ性であり酸性雨を中和することで越境大気汚染を緩和する働きをすることもある。また、黄砂に含まれるリンは農産物の肥料ともなるため、農業生産への寄与もあると考えられている。


日本では、古くから黄砂現象が認められており、江戸時代に編纂された文献では、室町時代の1477年に北国で「紅雪」を観測したという記録がある。俳句では春を表す季語として用いられていることから、当時からよく知られた気象現象であったことがわかる。しかし、黄砂が大気汚染物質と結合した場合の人間や環境への影響は、正負のどちらもいまだ十分に解明されたわけではなく、研究が重ねられているところである。


 


参考文献

環境省「黄砂パンフレット

環境省「黄砂実態解明調査

日本学術会議 農学委員会 風送大気物質問題分科会「報告 黄砂・越境大気汚染物質の地球規模循環の解明とその影響対策」(平成22年(2010年)2月25日)


 


(2013年3月29日掲載)

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