ESG格付けは今後選別されていくのか

ESG評価・データ提供機関等を取り巻く環境の変化から考える

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サマリー

◆機関投資家によるESG投資が拡大するとともに、それを支えるESG評価・データ提供機関等の重要性も高まっている。ESG評価・データ提供機関等に対しては、世界的に①評価の透明性と公平性、②ガバナンスと中立性、③適した人材の登用等について課題が指摘されている。金融庁はこうした課題に対応するため、2022年に「ESG評価・データ提供機関に係る行動規範」を公表、ESG評価・データ提供機関等に賛同を呼び掛けている。

◆ESG評価・データ提供機関等が提供するサービスの中でも、ESG格付け・スコア(企業のESGの取り組みを評価し、数値や記号で表すもの)はESG評価・データ提供機関等によるばらつきがあり、疑問の声が挙がることが多い。ESG格付け等のばらつきはそれ自体に問題があるわけではないが、機関投資家がその要因を理解することが難しい点には問題があると考える。ESG評価・データ提供機関等による情報開示等の充実が求められる。

◆一方、機関投資家は内部でESGを評価できる体制の構築を進めている。また、ESGを評価する上で大きな課題の1つであった企業側の情報開示も、国際的な基準作りの作業が行われている。機関投資家がESG格付け等を利用するニーズが低下していき、ESG格付け等の一層の選別が進むかもしれない。

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