2020年05月15日
サマリー
◆地域別に見ると、ESG投資の運用資産規模が最も大きいのは欧州である。最も多く用いられている投資手法は、特定の産業や企業を投資対象から除外するネガティブ・スクリーニングである。投資家によって除外する産業・企業は異なるが、武器やたばこ、ギャンブル関連などが多い。
◆近年では気候変動への対応を考慮する投資家が増えている。気候変動にネガティブな影響を与える産業・企業をポートフォリオから外す、ダイベストメントの動きも活発になっている。日本でもメガバンクや大手生命保険会社で石炭火力関連の新規投融資を見合わせる動きがみられる。
◆なお、こうした特定のテーマに関わらず、総合的にESGを評価した結果、一定の水準に達していない企業を投資対象から除外するという投資プロセスを経る機関投資家も増えている。資本市場から資金調達する企業に対しては、ESG全般に対する取り組み(およびその取り組みについて情報開示を行うこと)を求める声が強まっている。
◆足元では新型コロナウイルスの拡大を受け、投資家のESG評価項目として従業員との関係や危機管理、サプライチェーンマネジメントなどが重視されるような変化も生じているようだ。新型コロナウイルスの影響は長期化することも予想される。ESGの観点からは、消費者や従業員の意識も変化する中で、企業がどのように持続的な成長を実現していくのかが、問われることになるのだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
世界全体のESG投資残高は31兆ドルに
GSIA “2018 GLOBAL SUSTAINABLE INVESTMENT REVIEW”より
2019年04月04日
-
企業がSDGsに取り組む意義
将来も社会から必要とされる企業であるために今何をするべきか
2019年08月27日
同じカテゴリの最新レポート
-
ESGスコアの成長率と企業パフォーマンス
「社会」に関する取組みの中長期的な継続と向上の重要性
2025年06月26日
-
投資家の自然資本/生物多様性に関する評価軸
Nature Action 100、Springが示す枠組み
2025年06月20日
-
スチュワードシップとESGは別モノ:英FRC
英国でスチュワードシップの定義を変更、ESG要素を削除
2025年06月13日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日