2019年04月08日
サマリー
◆持続的な社会を実現するため、資金の流れをESG金融(投融資判断に環境:Environment、社会:Social、ガバナンス:Governanceの3要素を考慮すること)にシフトさせることが重要であるとの認識が高まっている。
◆特に地域金融機関においては、地域経済の持続可能性を高めるため、各地域の特性を考慮したESG融資の実現が求められている。地域金融機関がESG融資に取り組むことで、借り手側である企業がESGに配慮した経営を行うようになり、地域経済の持続可能性が高まるとされる。
◆ESG融資を通じた地域の持続可能性の向上を実現するための課題の1つは、借り手側企業にESG経営の重要性を理解してもらうことである。その課題解決の一助となり得るのが、2015年に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)である。SDGsの17の目標はESG要素を包含していることから、企業がSDGsに取り組むことは、ESGを経営に取り入れることにつながる。
◆日本政府や経団連がSDGs達成に向けて積極的に取り組む姿勢を打ち出しており、今後中小企業にもこの流れが波及していくことが予想される。地方自治体においても、SDGsに取り組む企業の登録制度を設けるなど、SDGsへの理解を広げようとする動きが見られる。地域金融機関がESG融資に取り組むことに加え、企業自らがその重要性に気づきSDGsに取り組む(ESGを経営に取り入れる)ことが、地域の持続可能性を高めるために必要ではないか。
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