2018年10月23日
サマリー
本稿では、わが国で開示(ディスクロージャー)優良企業として表彰された企業53社と海外で開示状況が優良と評価された企業等16社を対象に、CSR報告書や統合報告書で、環境や社会関連でどのような定量的な目標数値、あるいはKPIを開示しているかについての調査を行った。
調査の結果、わが国の企業では、環境関連でCO2等大気排出量、廃棄物排出量、水の使用量、リサイクル率、エネルギー消費量、社会関連では女性管理職比率、労災件数、女性新卒採用比率、健康関連、有給取得(率)、サプライヤーのサステナビリティ・アセスメント、平均労働時間を挙げる企業が多かった。第三者保証を付けている項目の実態も調べたが、社会関連で、上述した項目と違いが見られた。わが国では、第三者保証はCSR報告書に付される傾向があった。
海外企業の調査では、環境関連はCO2等大気排出量、廃棄物排出量、再生エネルギー使用率、水の使用量、エネルギー消費量、社会関連では、女性管理職比率、労災件数、サプライヤーのサステナビリティ・アセスメントを挙げる企業が多かった。第三者保証に関しては、社会関連で目標数値開示項目との違いが見られた。第三者保証は統合報告書等に付ける企業の方が多く、また、開示の責任者が明確にされている、統合報告書等の財務諸表に監査報告書が付されている点で、わが国と違いがあった。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
東証が求めるIR体制の整備に必要な視点
財務情報とサステナビリティ情報を統合的に伝える体制の整備を
2025年04月28日
-
サステナビリティ課題への関心の低下で懸念されるシステムレベルリスク
サステナビリティ課題と金融、経済の相互関係
2025年04月21日
-
削減貢献量は低炭素ソリューションの優位性を訴求するための有用な指標となるか
注目されるWBCSDのガイダンスを踏まえて
2025年04月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日