CO2削減のための政策手段

大幅な削減ポテンシャルを持つCCSの導入を促す政策

RSS

2015年04月14日

  • 大澤 秀一

サマリー

◆地球温暖化を防止するためには、CO2排出量の削減ポテンシャルが大きい安価な削減技術の選択と削減技術を促進するための地球温暖化防止政策に戦略的に取り組んでいくことが重要と考えられる。本稿では、二酸化炭素回収貯留技術(CCS)について、実用化に向けた動向を概観した上で、CCSの導入を促す政策について考える。


◆EOR(石油増進回収)はCCS事業者にとって投資を回収するための重要な手段の一つではあるが、地球温暖化防止の上で期待される効果が実現されない側面もあるため、今後は、地下深部塩水層への貯留に取り組むCCS事業者に経済的インセンティブを付与するような政策に取り組んでいく必要があろう。


◆CCSを経済社会に導入する政策としては、CO2を一種の汚染物質と捉えて排出基準規制を設ける規制的手法がある。近年は、グローバルな環境問題への対応策として、CO2に価格を付けて汚染者の環境技術レベルが経済負担に反映される手法や、市場メカニズムを通して削減総費用を低減させる手法などの経済的手法に取り組む国・地域もみられる。


◆我が国にCCSを導入するための政策としては、社会全体の削減費用の効率化を図る上でも、CCSを対象に含めた排出量取引制度(ETS)の導入が選択肢の一つとなる。東京都や埼玉県で既に導入・運用されており、我が国独自の知見が蓄積されつつある。日本は世界全体のGHG削減に貢献すべく、CCSの利用を想定した二国間クレジット(JCM)を国連気候変動枠組条約(UNFCCC)に提案している。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

執筆者のおすすめレポート