2013年02月15日
サマリー
日本政府は、情報セキュリティに関する普及啓発強化のため、平成21年度以降、2月を「情報セキュリティ月間」としている。2013年は、個人向けの「スマートフォンの情報セキュリティ対策」と企業向けの「情報漏えい対策」を重点テーマとして、総務省(※1)や経済産業省(※2)が各地でセミナーを開催したり、専用サイトで特集ページを開設するなどの活動を行っている(※3)。
また、ここ数年、目立ち始めた標的型攻撃のようなサイバー攻撃への対応を強化するため、演習用模擬システムを用いた国内初のサイバーセキュリティ演習を行うことが、経済産業省から発表された(※4)(図表1)。
| 日程 | 場所 | 参加機関 | |
|---|---|---|---|
| 電力分野 | 平成25年3月12日(火) | 株式会社日立製作所 大みか事業所 | 業界団体、研究機関、電力事業者、制御システムベンダ、他 |
| ガス分野 | 平成25年2月5日(火)、6日(水)、14日(木)、15日(金) | アズビル株式会社 研究開発拠点 藤沢テクノセンター | 業界団体、ガス事業者、制御システムベンダ、他 |
| ビル分野 | 平成25年2月25日(月) | アークヒルズ仙石山森タワー | ビル事業者、研究機関、他 |
内閣官房情報セキュリティセンターでは、国民生活と社会活動に不可欠なサービスを提供している社会基盤として、「情報通信」、「金融」、「航空」、「鉄道」、「電力」、「ガス」、「政府・行政サービス(地方公共団体を含む)」、「医療」、「水道」、「物流」の10分野を重要インフラと定義している(※5)。前述の演習も、重要インフラの位置付けにあるものを対象としていると考えてよいだろう。
情報セキュリティ上のリスクが高度化・多様化しているという認識は醸成されてきたものの、情報セキュリティに関する人材は不足している(図表2)。
| 分類 | 人材数の推計値 | 不足人材数の推計値 |
|---|---|---|
| 従業員数100名以上300名未満の企業 | 約8.5万人 | 約8,500人 |
| 従業員数300名以上1,000名未満の企業 | 約6.3万人 | 約6,200人 |
| 従業員数1,000名以上の企業 | 約8.1万人 | 約7,700人 |
| 合計 | 約23万人 | 約2.2万人 |
一因は教育機会や実践経験が不足していることといわれており、こうした機会の一つとなるよう経済産業省の委託事業で「CTFチャレンジジャパン2012」が開催された。CTFは「Capture the Flag」の頭文字で、直訳すると旗取り合戦のことだが、セキュリティ技術を競うコンテストの総称である(※6)。米国のコンテストが有名だが、韓国やマレーシアでも開催されているという。コンテストの内容は、分野ごとの問題に解答して得点を得るもの、自分のサーバを守りながら相手のサーバを攻撃する実践形式のもの、などが組み合わされている。
2013年2月に行われた「CTFチャレンジジャパン2012」全国大会は、福岡、大阪、東京、仙台の地方大会(合計47チーム)を勝ち抜いた9チームで争われた。優勝したのは、ネットワークセキュリティ企業の若手チームである。
情報セキュリティというと、どうしても専門家に任せておくという意識になりがちだが、企業ばかりでなく、政府や公共インフラも攻撃対象となる。必要以上に恐れることはないが、安全・安心な社会の構築に情報セキュリティ確保は欠かせないという意識が、まずは浸透することが望まれる。
参考レポート:2011年11月24日 コラム 「情報セキュリティにも求められる減災」
(※2)経済産業省 ニュースリリース 平成25年2月1日(金) 「官民連携による『情報セキュリティ啓発活動』を実施します~2月は情報セキュリティ月間~」
(※3)内閣官房情報セキュリティセンター(NISC) 平成25年1月25日 「平成24年度「情報セキュリティ月間」の実施について-2月は『情報セキュリティ月間』です-」
(※4)経済産業省 ニュースリリース 平成25年2月4日(月) 「電力・ガス・ビル分野のサイバーセキュリティ演習を実施します~演習用模擬システムを用いた国内初のサイバーセキュリティ演習~」
(※5)内閣官房情報セキュリティセンター 「重要インフラ対策チーム」
(※6)情報セキュリティ技術の研究者 愛甲健二氏の資料 「CTFとは?」より
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
人的資本可視化指針改訂で期待される経営戦略と人材戦略の深化
期待される開示の負担軽減と比較可能性の向上
2026年01月23日
-
バイオマス発電の質による選別と高付加価値化への潮流
BECCS・国内資源活用という新たな方向性
2026年01月21日
-
SSBJ基準の適用範囲や保証制度の整備
サステナビリティ情報への保証の実施者は監査法人に限定されない
2026年01月21日
最新のレポート・コラム
-
AIの社会実装と加速するインフラ投資
2025年のAI動向と2026年の展望
2026年01月28日
-
直近のMBOによる株式非公開化トレンド
事例比較による公正性担保措置の実務ポイント
2026年01月27日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第3回 不動産セキュリティトークンとは?(後半)
不動産セキュリティトークンの発行・流通動向、税制
2026年01月26日
-
大和のクリプトナビ No.6 暗号資産制度WG報告と今後の注目点
業界再編や自主規制機関の体制整備、オンラインでの適合性確保に向けた議論が注目点か
2026年01月26日
-
誰かの幸せが時々つらい。Z世代とみるSNSの変遷
2026年01月28日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

