HEMSとスマート家電の市場確立を目指す異業種アライアンス設立

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2011年08月05日

サマリー

2011年7月12日、KDDI、シャープ、ダイキン工業、東京電力、東芝、日本電気、パナソニック、日立製作所、三菱自動車工業、三菱電機の10社が、HEMS(Home Energy Management System)の市場確立と普及を目指す「HEMSアライアンス」を設立した(※1)。HEMSは、エネルギー消費を最適化する機能を持つスマート家電・太陽光発電等の設備・電気自動車等のエネルギー需給情報をITで最適制御することにより、省エネと快適なライフスタイルを目指す仕組みである。他社の機器や設備との接続性確保は、省エネ効果や消費者の利便性を増すだけでなく、ビジネスを世界展開する上でも外せない条件となろう。当アライアンスでは、スマート家電等の制御のあり方や、HEMSアプリケーション(以下、アプリ)の開発・流通、スマート家電の保守などに必要な仕組み作りなどの課題を検討するとしている。

革新的なHEMSアプリ開発には、多様な開発者を呼び込むことが望まれる。外部の開発者を参加させた成功例として、iPhoneやアンドロイドOSの入ったスマートフォン向けのアプリサービス「App Store」や「Android Market」が挙げられる。ここではサービス提供企業以外の企業や個人もアプリ開発することで、様々なサービスが提供されている。さらにモバイルアプリという新しい市場が拡大している(図表1)。こうした新市場への期待もあって、HEMSアプリの開発・流通が検討課題に入っているものと思われる。

図表1 モバイル アプリケーション ストアの売上高予測
図表1 モバイル アプリケーション ストアの売上高予測
(注)App Store(Apple)、Android Market(Google)、Ovi Store(Nokia)、BlackBerry App World(Research In Motion(RIM))の売上高合計。
(出所)iSuppli 2011年5月3日プレスリリース 「Revenue for Major Mobile App Stores to Rise 77.7 Percent in 2011」(http://www.isuppli.com/) をもとに大和総研作成

なおスマートコミュニティやスマートハウスに関する異業種アライアンスには、「福岡スマートハウスコンソーシアム」(2010年6月設立)、「横浜スマートコミュニティ 」(2011年6月設立)等もある。前者は企業・大学・有識者など31の組織・個人が参加(2011年6月10日時点)、後者は17の企業が参加している(2011年7月28日閲覧)。これらのアライアンスは実証実験を通して技術的な課題の解決を図ることを目的としており、技術的な課題を「検討する体制」であるHEMSアライアンスとは性格を異にするといえよう。

(※1)http://www.kddi.com/corporate/news_release/2011/0712/index.html

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