2010年09月21日
サマリー
◆企業のESG(環境、社会、ガバナンス)情報の開示は、環境報告書、CSR報告書などを通して行われてきた。従来、こうした報告書の作成・開示は、社会貢献活動のアピールやリスクマネジメント対策といった守りの目的が主流であったが、最近はブランド向上や取引先との関係強化など攻めの目的に変わってきている。
◆この変化と呼応するように、ESG情報の開示義務化の動きが出てきた。欧米では投資家保護や社会的責任のために、年次報告書などでの開示が要請されている。短期的な利益追求による金融危機の反動から、長期的に企業の価値を判断するための非財務情報=ESG情報の活用も期待されだした。日本では情報提供のあり方について検討を要請された段階ではあるが、今後、開示の義務化に向けた動きが活発化するものと思われる。
◆ただし現時点の開示情報は、たとえ同業種内でも他社比較できるような状態にない。利用者には課題があることを認識した上での利用が、企業には課題の存在と理由がわかるような情報開示が求められる。さらに今後は、グローバル社会への移行や利用者層(読者層)の多様化を考慮した対応が、情報を開示する企業に求められよう。
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