サマリー
◆利用者増加に伴い、確定拠出年金(DC)資産残高は増加し、2017年度末で13.3兆円となった。資産構成は、2011年度までは6割以上が元本確保型の商品だったが、12年度以降は投資信託等(以下、投信)の割合が徐々に高まっており、17年度末で47%に達した。しかし、依然として半分以上が元本確保型の商品に投資されている。
◆米国やオーストラリアなどDCが普及する国では、DCの資産構成は投信や株式など、リスク性資産の割合が高い傾向にある。米、豪では各国家計金融資産に占めるDCの割合が高く、リスク性資産の割合が高いという資産構成は家計金融資産全体の伸びにも影響している。
◆日本のDCの資産残高は家計金融資産全体に占めるウェイトが現時点では1%にも満たないが、今後の拡大が見込まれている。DCの資産規模拡大と同時に投信の構成比が引き続き上昇していけば、中長期的な世界経済の成長の恩恵を国民全体が受けられるようになろう。
◆ただし、老後に向けた資産形成に資する適切な資産構成となるような投資を促すためにはいくつかの課題もあり、DCやNISAといった制度を充実させていくことが必要である。投資教育の充実や投資助言サービスの確立、デフォルト商品の設定についても検討や改善の余地がある。
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